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2009.03.1122:40

「青の魔性」引用

・・図書館に返す前に引用しておきます。w

「私は”普通の女性”に興味をもてない男である。別に肉体的な欠陥や精神的な障害があるわけではない。それは、私がある少女に「取り憑かれて」しまたからである。~私にとって、異性は、その少女以外にない。美しい女性や、性的魅力満点の女が身辺にきても、いつもあの少女の面影がオーバーラップしてしまう。」

「控えめな少女で、特に教師たちの間で話題になることもない、どちらかというと平凡な生徒だった。家庭も、ごくありふれた中流サラリーマンである。仲のいい友人もないらしく、クラスから離れて、シンと自分ひとりの世界に閉じこもっているようなところがあった。」
「だが、いつも人と目が会わないようにうつむけている面に注意してみると、誰に見られることもなく深山にひっそり咲いている高山植物のような、気品のある美しさを沈めていた。それは、人を寄せ付けない拒絶的な美貌であり、じっと見つめないと分からない、深所からにじみ出てくるような、ワンクッション隔てた魅力であった。」

「ところがそれから二ヶ月ほどは、何を描かせても、髑髏のような図柄ばかり描く。恭子を一人だけ呼んで、わけを聞くと、「手が勝手に動いてしまうんです。頭でいくら花を描けと命令しても、手のほうが勝手に動いてしまうんです」と答えた。~「あのこの内部には、何か屈折したものがあると思いますわ。誰にも覗かせない不可解な内面世界が。これがうまく発展すると、将来、すごい芸術家になるかもしれない」」

「初めての授業のとき、私が新任の挨拶をすると、恭子は、それまでうつむけていた面を上げて、射るような視線を、私のほうへ注いできた。それは冷たく澄んだ一筋の光の矢のように、クラスの一角から一直線に打ち込まれてきた。私は彼女に見つめられた顔の部分に痛みを感じたほどである。/この一瞬に、私は反町恭子に取り付かれてしまったといってよい。
「~恭子を担任した私は、さりげなく、しかし熱心に彼女を観察した。一見、恭子は普通の生徒と変わっていないようであった。だが、授業中、彼女は、ふいと放心してしまうことがある。/そんな時澄んだ秋の日差しのような彼女の視線から、熱感が失われ、焦点がかすんでしまう。確かにこちらを見ていながら、彼女の目は、私を超えてはるか遠方に向けられている。それは普通の距離の尺度では測れない、途方もない遠方を見ているような視線だった。/私は、彼女の見つめている遠方に嫉妬した。この教室にいながら、反町恭子の精神は、次元の違う場所にとんでいる。それはなんぴとも追随できない遠方である。/私は、自分の嫉妬を、彼女にふいに質問することによって癒そうとした。質問によって、強制的に私の前へ引きずり戻すのだ。」

「だが、恭子は、空腹でも、口にすることの出来ないなまの食べ物である。」

「「先生」恭子は、思いつめた顔をして、私の席の前に立った。「何だい?」私は、恭子と一対一でこんなに近く相い接したことはない。生硬ではあるが、膨らみかけた蕾の中に開花したときの美しさを十分に偲ばせる清純な魅力を秘めている。蕾の固さが、その魅力の稠密ぶりを物語る。/私は、いわゆる「食べてしまいたいような」愛しさを彼女におぼえた。その相手が、先方からおずおずと私に近づいてきた。決して自分のほうから人に近づいたことのなかった恭子が。」
「恭子は、ひたむきな視線を注いできた。その透明な炎のような、不思議な熱間を帯びたまなざしに見つめられると、私は、いつも背筋に悪寒のようなものを覚える。嫌悪のせいではなく、何かに魅入られたかのようなマゾヒスティックな快感と陶酔が、私をふるわせるのである。」

「実を言うと、今度の遠足は、私自身の楽しみでもあった。いつも教室の中でしか見ていない恭子を、あの神秘的なN渓谷の深遠のそばに立たせてみたい。きっと彼女の、みずぞこに静めたような美しさは、一億年の風化を刻んだ変成岩や碧瑠璃の淀の傍らにおかれて、音が共鳴するように、そのミステリアスな美の正体をのぞかせるかもしれない。」

「私はそのとき、私が真に愛していた女性は恭子だったことを悟ったのである。綾子は、恭子の代役にしか過ぎなかった。私は、綾子の熟れた肉体の中に、男の欲望を叩き込みながら、ついに触れることの出来なかった私の「永遠の女性」の面影を重ねていたのである。恭子も私をひそかに愛していてくれたのだ。だから私と母親の不倫の関係を許せなかった。彼女の死は、私に対する抗議であり、命をかけた断罪でもあった。」
「私は、その日から、全ての女性に興味を失った。星に恋した男のように、私は、水底に揺らめくような恭子の青い美しさにとりつかれてしまった。腕を伸ばせばすぐにも届きそうな先に沈んでいながら、決して届くことのない千尋の底に遠ざかった青い魔性の虜にされたのである。」

やばいっすねぇ・・
引用してみると良さに気が付きます。
私も恭子に会ってみたい。
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